ふじやま式語呂合わせ

ふじやま式語呂合わせPart2

今回は前回の続きで、語呂合わせPart2を使って見直しを行うべき内容についてまとめていきます。エスキス・作図後の見直し“こそが設計製図試験を攻略する肝です。

語呂合わせPart2の中の一部は減点で済み、一発アウトとならないものも含まれますが、
他の受験生から一歩でもリードできるように一挙にまとめています。

 

前回で紹介した語呂合わせと一緒に覚えることで、減点を確実に防ぐことができます。仮にゾーニングや記述で減点されたとしても、法規や重要ポイントをきちんと守ることで確実にゴールへ向かって一歩近づくことができます。

この試験は相対評価の試験で、合格率は3割強~4割程度です。
学科試験で合格した人の中での合格率、という点で一見競争が激しいと思われますが、製図試験は学科試験とは全く性質の異なる試験なので最低限必要な知識やテクニックをはじめに身につけておくことで、語呂合わせを知らない受験生と圧倒的な差をつけることが出来ます。

そこで、今回のふじやま式語呂合わせPart2です。では、始めていきます。

 

語呂② : 延 高 採 / ○防 / BF 区 避難 / 要 階 塔 雷

読み方① : 援助交際 の /  〇防 / BF 区画 に避難して /  妖怪到来。

読み方② : えんじょ こうさい の / まるぼう /

ばりあふりー くかく に ひなん して / ようかいとうらい。

 

はい、長い語呂なので、最低10回は声に出して唱えましょう。

「えんじょこうさい の まるぼう、
ばりあふりーくかくに ひなんして ようかいとうらい。」

「えんじょこうさい の まるぼう、
ばりあふりーくかくに ひなんして ようかいとうらい。」

「えんじょこうさい の まるぼう、

語呂合わせの内容としては、
援助交際しているマル防の警察官(対ヤ〇ザ取締課)が周りの人達に不審に思われたのをきっかけに、バリアフリー区画(段差の無い安全な区画)に避難したけれど、突然妖怪が到来して襲われるというトンデモ大事件。

それでは、一つ一つ確認していきましょう。

 

 

①延=延焼ライン(1F : 3m; 2F,3F : 5m)

まず、一発OUTの代表格である延焼ラインです。
それぞれ隣地境界線又は道路中心線からの距離で点線表示(※問題文の指示に従う)を絶対に忘れないようにしましょう。特に[1F:3m、2F,3F(基準階):5m]であるということもエスキス用紙に必ずメモしましょう。

特に気をつけるべきなのは、1階と2階の平面図が上下反対に記載されている解答用紙の年があります。
平面図では1階と2階を上下正しく描いているのにもかかわらず、本番の最後らへんで慌ててしまい、延焼ラインを上下階と反対に書き間違えることが多いです。これで一発アウトなわけですから、色々と報われない試験です…。必ず延焼ラインを描いた階が正しいかどうか最後に念入りにチェックすることが大事です。

 

製図くま
製図くま
隣地が公園等の場合も押さえておこう。

 

延焼ラインが不要な例(法2条1項六号より)

・「防火上有効な公園・広場・川等の空地に面する部分

・「水面」「耐火構造の壁」に面する部分

公園は公園でも「防火上有効な」公園です。「ただの」公園では延焼ラインが必要です。
よって、本試験問題の敷地図で、「防火上有効である」と明記されていない場合は延焼ラインを描くことが必須です。問題文を読んだときに延焼ラインが不要である場合は敷地図に赤色で大きな×マークをつけることをおススメします。(視覚的に判断できるので)

 

 

②高 = 高さ制限(北側・道路・隣地斜線制限)

高さ制限は試験で一番差がつくところなので、要注意です。
計算自体は場合分けする必要があるので、作図後の最終チェックの時点では全く修正が効かない項目です。自分が設計する建築物の高さはチビコマの作成後(=エスキス(1/400)作成前)に再計算しましょう。

・北側斜線 → S緩和なし 1.25
  (住居系5地域のみ : 一種・二種低中高層・田園)

・道路斜線 → S緩和あり 1.25(住居系) or 1.5(非住居系)

・隣地斜線 → S緩和あり 20m+1.25(住居系) or 31m+2.5(非住居系)

(勾配 → 1.25or1.5 ; S → セットバック距離)

北側斜線制限については、セットバック距離の有無にかかわらず緩和されないため、一定の高さ制限がかかります。本試験では、RC造3階建て以上の建物規模であるため、高さ10m超が前提となります。したがって、第一種・二種中高層住居専用地域の北側斜線制限の高さ限度の公式を覚えましょう。

「北側斜線制限」第一種・二種中高層住居専用地域

H=10+1.25×S (S:セットバック距離)

 

製図くま
製図くま
セットバック距離は外壁からの後退距離だよ。外壁芯ではないので気を付けよう。

 

 

次の内容は、斜線制限が緩和される例です。

斜線制限が緩和される例①

・都市計画地域等の区域であること。(∵集団規定が適用されないため)

都市計画区域等内では集団規定(高さ制限や建ぺい率、容積率など)が適用されます。一方で、都市計画区域外の場合はこれらの法律は適用されないため、北側斜線や道路斜線による高さ制限は必要ありません。

 

製図くま
製図くま
第3章で法41条の2~法68条の26までの法律は、都市計画区域等内に限り、適用するんだ。いわゆる集団規定というね。都市計画区域だと、法43条の接道義務法52条の容積率法53条の建ぺい率法56条の高さ制限(道路斜線制限etc)などが適用されない。ごくたまに試験で出題されることがあるから建ぺい率・容積率が問題文に無くてもビックリしなくて大丈夫だよ。

 

斜線制限が緩和される例②

・道路の反対側・隣地が公園・広場等、水面等である。(『公園緩和』と呼ばれる)

設計製図試験の問題では、斜線制限の公園緩和が適用される場合には十中八九、道路斜線制限や隣地斜線制限が適用されません。したがって、斜線制限の基点が「隣地の1/2」「道路の反対側」などといった学科試験で問われるような細かい内容は覚える必要はありません。よって、道路の反対側や隣地が公園、広場、水面などの場合は斜線制限を考えなくて大丈夫です。

しかし、次の内容だけは例外として暗記しておく必要があります。

北側斜線制限の場合、隣地が公園・広場等である場合は緩和がありません。(公園・広場等の南側の日照を確保できなくなるため) 水面(川・海)には人がいることを想定していないため、緩和されます。よって、北側斜線制限は公園緩和ではなく水面緩和のみ、ということになります。

 

③採 = 採光(窓位置・サイズ)

R3年の本試験課題「集合住宅」では、特に注目された「採光」についても確認しましょう。特に要求室で指定された居室であるはずの窓が一つも計画されていない場合、採光条件を満たさないことになり一発アウトとなります。

採光が必要である建築物の用途は以下のものになります。採光条件が対象となる室は「居室」だけです。WCや倉庫などは不要です。

主なポイントは「誰」が「どこ」に「居る」かということを意識して整理してください。

採光有効面積が必要な採光条件

子供が常に居る室 :「床面積1/5以上」
(幼稚園・小中高校の居室→教室 ; 保育所の居室→保育室)
住宅系、患者が常に居る室:「床面積1/7以上」
(住宅の居室→寝室やリビング;病院・診療所の居室→病室)
大人が常に居る学校 :「床面積1/10以上」
(大学・専門学校の居室→教室)
患者が時々居る室:「床面積1/10以上」
(病院・診療所の居室→談話室娯楽室)

覚え方としては「子ども」と「大人」の存在がキーポイントです。
子ども達は多くの日光を浴びる必要がありますから、床面積の1/5以上の採光有効面積が必要となります。
住宅系や患者が居る病院などは、子どもや大人両方居ることが想定されるので、1/5と1/10の中間値である1/7.5以上、安全側に考慮して、1/7以上としています。
主に大人が居ると想定される学校や病院の居室(談話室や娯楽室など)は、1/10以上となります。

製図くま
製図くま
事務所の居室には採光窓は必要ないよ。ただし、無窓居室となるので、次の制限が引っかかってくるよ。

 

無窓居室の強化規定

・(自然・機械)換気設備が必要になる。(法28条2項)

・歩行距離と重複距離の制限が厳しくなる。(令120条1項)

・(自然・機械)排煙設備が必要になる。(令126条の2 1項)

 

製図くま
製図くま
無窓居室の定義は令116条の2に定義が載っているよ。採光と排煙に分かれて書いてあるから読んでみて。

 

 

④○防(まるぼう) = 防火設備

延焼ラインと常にセットで考える防火設備です。
こちらも一つでもうっかり書き忘れると一発アウトなので、要注意です。

○防の記入ミスは受験生は非常に多いです。僕自身、よく目を凝らして○防に注意していたはずなのに、延焼ライン前後だけの開口部に気を取られて、延焼ラインの外側の〇防をうっかり見落としていた、なんてことがよくありました。

○防を延焼ラインを確認するときは、延焼ライン前後だけではなく建物の外周部(X・Y方向)もきちんと確認しましょう。特に、ピロティ形式の駐車場の場合、防火シャッターなどの〇防を忘れがちです。

「○防」=「両面20分間防火設備」であることも学習しましょう。

 

⑤BF = バリアフリー

前回の通り、製図試験で出題される建築物は特別特定建築物なので、バリアフリー法円滑化基準に従います。屋内と屋外で段差が生じないように計画するために、水勾配やスロープを設けることで、バリアフリーに配慮します。

道路側の後退距離を外壁芯から4mの場合、上図のようになります。1階床スラブはGL+100mmの位置にあるため、必然的に出入口前に段差が生じます。

建物主出入口(▼)の前に平場(高さ75cmごとに踏幅150cm以上)が必要となります。車椅子使用者が360°回転できるスペースを設けるため、直径180cmが必要となります。外壁の半分の厚さを考慮し、外壁芯から直径200cmで計画します。もし、道路側の後退距離が2m、3mなど4m未満の場合はピロティ形式とすることで踏幅2mを確保できるようにしましょう。

水勾配(1/15)を必ず記入しましょう。水勾配を描いていない場合は、バリアフリーに配慮した建築物とみなされず、円滑化基準に従っていないとして大減点です。

得点の割には簡単なところなのでもったいないミスをしないように気をつけましょう。
屋内に関しては、一部の室がGL+500mmとする、などの指定条件がある場合は、
1/12勾配(屋外よりも緩い)で適宜計画します。

 

⑥区画 = 面積区画・竪穴区画・異種用途区画

防火設備と同様に、忘れがちな区画割です。
面積区画や竪穴区画などを示す「〇特」=「特定防火設備」を次のチェックリスト項目を作って作図完成時に念入りに見直しをしましょう。特に、階段とEVを分離して計画する場合には特に注意してください。

①階段(1・2・3)

②EV(1・2・3)

③吹き抜け部分(1・2)

④異種用途(例:駐車場⇔集合住宅⇔店舗)

①階段と②EV、と別々にチェック項目を作ることがミスを確実に防ぐコツです。
設置した階数をカッコ内で記すことで、「どこ」の階でチェック済みか視覚的に判断できます。

 

⑦避難 = 「避難距離」=「歩行距離」・「重複距離」

直通階段(避難階まで連続する階段)に至る2方向避難の「歩行距離」「重複距離」についてを忘れずに記入しましょう。記入するのは、避難階以外なので、2,3階(基準階)ということになります。

・歩行距離(2・3)

・重複距離(2・3)

製図くま
製図くま
2方向避難計画のコツは、”重複距離“を考えて階段を2か所できるだけ離して配置することだよ。あ、あと避難距離はあくまで”居室“からスタートするので、階段から一番遠い場所にある室が”倉庫”であっても、一番遠い居室の中をスタート地点とするよ。だから”歩行距離“に関しては、“居室”をなるべく階段側に寄せて配置すること。

 

 

では最後、一気にまとめて語呂合わせを暗記しましょう。

⑧妖怪到来 = 要 階 塔 雷 =

「要求室」「階段位置(内外)」「塔屋」「避雷導体」

「要求室」

「要求室」は、一番大事なチェック項目です。どんな出来上がったハイクオリティの図面でも、要求室が一つでも欠落していると一発アウトです。特に、屋外施設にも注意深くマークしましょう。また、要求室「名」を正確に書くことが大事です。もし、一字でも書き間違えれば要求室の欠落とみなされて足切りされてしまいます。問題文の一例を列挙します。

「多機能便所」と書いてある場合×「多機能トイレ」

「管理人室」×「管理室」 「屋上庭園」×「屋外庭園」

「子ども広場」×「子供広場」 「A-1」×「A1」

製図くま
製図くま
特に試験で慌ててるときに思い込みでやってしまいがち。今一度、要求室名に間違いがないか確認しよう。

 

 

「階段配置(内・外)」

 階段配置の上下整合チェックです。基本的なことなんですが、本番ではスムーズに階段がエスキスプランに入ったと勘違いして、試験中後半で上下不整合に気づくという最悪な状況も想定できます。さらに、階段とEVセットでプランを考える場合、これらのサイズの関係で、階段の出入口とEVの出入口が廊下に面することができないこともたまにあります。(特に6mスパンの場合)

よって、階段・EVの配置に関しては「はじめの一歩」で考える必要があります。

 

階段・EVの上下整合チェック

①エスキス(チビコマ)時には最初最後のダブルチェック。

②作図時には、名前、面積表、寸法、柱を描いた後、すぐに描き始める

製図くま
製図くま
結局、図面の情報が多すぎて頭の中で処理しきれないから、階段・EVの位置ズレが起こるんだ。3枚もの平面図でにらめっこしてるから当然だね。図面内情報が少なくコマの感覚がつかみやすい真っ白な平面図のうちに階段・EVを描いたほうがいい

 

「屋外階段」についてひとこと

屋外階段は、グリッド内にのみ納まる屋内階段に比べて、建物外周部のどの位置でも計画できるなど汎用性が高いですが、がゆえに、柱や壁から屋外通路を設けて屋外階段を設置する場合に微妙な上下階不整合が生じやすいです。原則、屋内階段を2つ計画し、もし2方向避難経路で不都合が生じた場合には、屋外階段を柱と壁に接して設けることを強くおススメします

 

「塔屋」「避雷導体」

「塔屋」「避雷導体」については、両方とも断面図に反映させます。
塔屋については、塔屋以外のポイントで切断した場合にも点線で示します。

理由としては、塔屋部分の水平投影面積が建築面積の1/8以下である場合には、その部分には12mまではとして高さとして算入されないため(塔屋緩和)、道路斜線制限や隣地斜線制限の対象外であるからです。

うさ
うさ
北側斜線制限は、塔屋の高さはどうなるの?

北側斜線制限の場合は、塔屋緩和がありませんので要注意です(超重要)。北側斜線は公園緩和もなく、水面緩和だけなので非常に厳しいですね。

うさ
うさ
北側斜線を考える場合は、地上5階建てと指定されていても、実際には塔屋を含めた6階建ての高さとして計画しないといけないんだね。
製図くま
製図くま
ご名答。北側斜線にはセットバック緩和・公園緩和がないということを知っている受験生でも最上階の塔屋緩和がないことを知らない人がけっこういる。ここで大きな差がつくよ。
うさ
うさ
北側斜線はとにかく緩和に厳しいんだね。たしかに、北側隣地の土地を所有している人にとっては、南側の日照をちゃんと確保したいもんね。
製図くま
製図くま
そうでしょ。北側斜線で緩和されないことには必ず意味があるんだよ

 

避雷導体については高さ20m超の建築物を対象としています。
「高さ」の定義は、北側斜線制限同様に塔屋緩和がありませんので、地盤面から塔屋の上端までの高さを基準としています。避雷導体の設置に関してはパラペット立ち上がり部分に横に沿わせて線を計画するイメージです。

製図くま
製図くま
雷にとってみたら物理的な高さで落ちやすい場所が決まるからね。

 

 

以上が、ふじやま式語呂合わせPart2でした。Part1と合わせると非常に長いチェック項目となりますが、これらを網羅して見直しをすることで確実に減点を防ぐことが出来ます。作図で書くか書かないかの問題で、合格する否かが決まります。ぜひ試して使ってください。

最後までお付き合い頂きありがとうございました。

 

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